TDA1543でパワープレイ!

ラズパイでデジタルミュージックプレーヤー その15

これまで「ラズパイでデジタルミュージックプレーヤーシリーズ」では出力特性をある程度は確保した上で、どう好みの音に近づけるかということを追求してきましたが、TDA1543という、特性をみたら箸にも棒にもかからないようなチップからとても魅力的なサウンドが出ることに少々驚き、それならばと更に特性には目をつぶって「抵抗I/V」と、一部で評価の高い「J-FET I/V」にもチャレンジしてみましょう。

回路は前回作った左右のデータを74HC153を使って分離し、TDA1543を左右1個づつ使うところまでは一緒です。
違いは抵抗I/Vでは回路が抵抗1本とLPF用のコンデンサだけというシンプルなものになります。
オペアンプを使わないので単電源で構成できますが、そのため出力にカップリングコンデンサが必須です。
また、出力電圧が電源電圧内でスイングできるように出力電流を調整する必要があるので、Vref端子に半固定抵抗をつなぎます。
J-FETバージョンはNchJ-FETを使い、DAC出力と抵抗の間にドレイン〜ソースを通します。(ゲートがオープンという謎な回路です。)
バイアス回路が不要なので、D-S間をショートピンで繋げば抵抗I/Vと切り替えできます。
手持ちのJ-FETでIDSSがDACの出力電流以上のものが2種類しかなかったのですがまずは試してから考えましょう。

まずはJ-FETバージョン。
なんとなく想像した通りの挙動で、確かに音は違うのですが、時間とともにどんどん直流動作が変化してバイアス電圧が全然落ち着きません。
頑張って調整してサウンドチェックしましたが、私にはピンときません。
しかもゲートがオープンなので手を近づけただけで音が変わります(というか歪んで使えない)
FETを変えれば評価が変わるかもしれませんが、個人的にはこの時点では魅力を感じませんでした。

気を取り直して抵抗I/Vバージョン。
こちらは押し出しの強い前に出てくるサウンドでとても面白いです。
無帰還電源と組み合わせると奔放さが更に解放されたようなエネルギッシュな感じを受けます。
情緒性が損なわれるわけではなく、厚みが増したような感じといえばよいでしょうか。
正確性という意味では疑問符がつきますが、聞いてて楽しい感じはダントツです。
小音量でBGMにしても周囲の雑音に埋もれにくい感じで、リモートワークで流しっぱなしでも邪魔になりません。

問題はI/V抵抗がそのまま出力インピーダンスになり、通常のソースと比べるととても高い値となり、後段のアンプの入力特性に影響されやすくノイズが入りやすかったり、ボリューム位置で周波数特性が変化する可能性が高いことです。
(特に信号を受けるアンプの入力特性によって音が変化しやすいということです。)
つまり、私の感想は私の環境における物でしかないのであしからず。
なお、定インピーダンスアッテネータを使うと音量変更による音の変化は抑えられますし、アンプも含めてバッテリー駆動でノイズも相当に抑えられるので、こういう構成にも威力を発揮します。

TDA1543はCDのような16bitメディアには魅力的な選択肢の一つだと思います。
特に抵抗I/Vはまさにパワープレイ。
この感じが好きな人にはたまらんだろーなー。

ちなみに、フィードバック型電源とノンフィードバック電源、オペアンプI/Vと抵抗I/Vでしばらく取っ替え引っ替えしていますが、今のところ私の環境ではノンフィードバック電源とオペアンプI/Vの構成で落ち着いてます。