PL-30LIIの修理

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オーディオ全盛期のプレーヤーを修理しよう。2

我が家の現行メインレコードプレーヤーは、私がガキの頃アルバイトして得たお金を握りしめて近所のLAOXに展示処分で出ていたのを自転車の荷台に括り付け(!)て持って帰ってきた、パイオニアのPL-30LIIです。

実はごまかしごまかし使っていたんです。(汗

結婚後も、電源入れれば動く状態で実家に置いてあったんですが、全く電源入れずに10年以上経っていました。もともと20ん年前にアナログ放棄して、実家にある数枚のレコードのなんかの時のためにだけ維持していたので当たり前と言えば当たり前なんですが。

で、実家から引き揚げてきたときに問題点が2点見つかっていました。
ひとつは、ターンテーブル裏に付けていたブチルゴム。
PL-30LIIのターンテーブルは、ターンテーブルシートを載せずに叩くと「カ〜〜〜〜〜〜〜〜ン」と面白いように響くので自分で貼ってダンプしていたんですが、こいつが経年で変形してキャビネットと当たってノイズになるトラブル。
これはスクレーパーで剥がして直したんですが、重要な問題がもうひとつの方。
起動時、停止時にモーターから「クククク」とノイズが出ることがあるのと、そもそも起動(回転)に失敗することがある。というトラブルです。

ことがある。(つまり時々発生)って、いざ修理時に再現しなかったりして修理屋泣かせなんです。
これまで見たときは正にこれで再現せず、不具合原因わからずに戻して再発というのを繰り返していました。
今回、SL-1200MK3が加わったので、PL-30LIIを思い切りバラバラにしてチェックできるいい機会になりました。
モーターの挙動を見るにはシンクロスコープが要りますので、引き籠り部屋に持ち込んで分解を進めますが、もう一つの問題がこの子の分解がとても厄介なこと。
何が厄介って、オイルダンプアームのオイルが漏れちゃうので、横にしたり、ましてや上下ひっくり返しての作業が出来ないんです。
ベンチに片足載せて、もう片方はマイクスタンドで支えながら底板を外し、ケーブル類を取って下から覗き込むようにスイッチ類のねじを外す。
今度は上からスイッチカバーを外す。
これでやっとモーターASSYと基板にアクセスできます。
この状態で確認すると、今回はうまい具合に再現してくれました。
で、下から変な恰好しながら基板を見ていたら、ICの型番が、私が知ってるパイオニアDDモーターのそれと違うことが判明。
(私が知っているのは古い型の様です)
とはいえ、回路構成としてはほぼ一緒なのでパターンを追いかけてテストポイントと思しきところで信号を拾い、PLLを調整。
調整しても起動・停止時に時折おかしな音がします。
PLLの調整は出来るけど、ノイズが乗るときは波形が崩れます。
ということは、回路自体は生きているので原因はほぼ電源ですね。
メイン電源のブロックコンデンサの電圧をモニターしてると、無負荷でもリップルがかなり出ており、当然、モーター起動時、停止時の電圧が全然安定しません。
消費電力は数Wでコンデンサーの発熱もありませんので、ここのコンデンサーの容量抜けと判断。

このコンデンサーは63V1000μF。ここに掛かっている電圧は40Vなので、手持ちの50V1500μFをパラに接続して様子をモニター。
無負荷時の派手なリップルはなくなり、モーターの起動、停止時の電圧もビシッと安定。
PLLロックが掛かる迄の時間も少し短くなったようです。

今回の作業はここでタイムアウト。
汚れを落としながら逆の手順でパーツを取り付け、無事復旧しました。
音に大きな変化があるものではありませんが、ちゃんと回る安心感は何物にも替えがたいです。(笑)
なお、ヘンチクリンな格好して作業してて写真撮り忘れました。

これと前後してSL-1200MK3と取っ替え引っ替えサウンドチェックしていて、気になったのが、ターンテーブルシートです。
PL-30LIIのシートは柔らかめ。SL-1200MK3は同じゴム系ではありますが、比べると硬めです。
これを入れ替えるだけで随分とエネルギーバランスが変わって聞こえます。
標準のシートに何か不都合があるわけでもないのですが、いかんせん30年選手のゴムですし、他のを使うとどう変わるか(はたまた変わらないか)興味が湧いてきました。
ということで、ネットで調べたら、案の定高いのばっかりなんですね。
そんな中、目に留まったのが、BR-12というブチルゴム系のシートです。
定価で¥6,000-とチューニング目的のシートとしては比較的安価なのに加え、ヲタク的な観点で目を引いたのが「すり鉢状のテーパーが付いている」という点です。
スタビライザーと併用することでレコードがピッタリとシートに密着します。
テーパーといっても角度としては1度だそうですので、カートリッジのアングルとしては誤差の範囲です。
これをとある日の会社帰りに買ってまいりました。

使ってみるとこれがなかなかいい感じで、標準と比べると、付帯音というか余計な響きが抑えられダイレクトさが増したように感じます。
ソース(音源・タイトル)によっては空間イメージがえらく小さくなったり、逆に大きくなったり(広がったり)していますので、スタイラスの溝トレースの正確性が向上して歪みも減っていることが伺えます。
演奏中のプレーヤーを見ていても、アームの余計な動きが減ってビシッとトレースしているように見えます。
これだけで別のプレーヤー、別のスタイラスになったみたいにも感じます。
しばらくこのシートを使い込んでみたいと思います。

しかし、当面はこれで乗り切れそうですが、もう一度時間を作ってモーターASSYから基板を剥がして電源周りのコンデンサー全交換したいなぁ。