PL-50LIIとPL-30LIIのニコイチ修理

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オーディオ全盛期のプレーヤーを修理しよう。3

この前修理した(はず)のPL-30LIIですが、どうにもご機嫌が宜しくありません。
周期的にPLLが外れ、まともに回りだすのに1時間くらいかかったりします。
電源補強でしばらくは大丈夫だろうと思って、予備のプレーヤー(SL-1200MK3)を里子に出していたので、これを修理するには長期間のレコード欠乏という事態が待ち受けています。

そんな中、不定期にチェックしていたオークションで、ジャンク扱い見た目ソコソコのPL-50LIIが残り10分でも数千円というのを発見。
ケーブルが切られてたり、横倒しして底を撮影した画像があったので嫌われたのでしょうか。(この子は横にするとアームのダンパーオイルが漏れます。)
冷やかし半分で入札したらバトル3回で落札しちゃいました。その前の週にはプラッターなし見た目も酷そうな50LIIが1万超えてたりしたのに、これだからオークションはよくわかりません。。(苦笑)

ということで、レコードが聴けない時間を最小に抑えつつ、PL-30LIIと50LIIの修理&再生にチャレンジです。

まずは落札したPL-50LIIの状態をチェック。

電源とRCAケーブルが切断されている。
ダストカバーは壊れていないが結構汚い。
手回しによるターンテーブルの目視点検は異常無し。
ターンテーブルシートは加水分解でベタベタ。
トーンアームの可動範囲OK。
アームのダンパーオイル漏れあり。(やっぱり。。)
アームリフターとアーム接点のゴムパーツ欠品。
付いてたカートリッジのカンチレバーがクチャクチャ。(M44-7ってDJ針だよなぁ)
アームの高さ調整が出来ない。(固着して動かない)
足の底のプレートが一つ欠品。
底板を外して回路の目視点検でサビなど異常は見られず。
そのほか、輸送用ゴムキャップ、EPアダプター、S字アーム、カウンターウエイト大、追加ウエイトが欠品。

ワニ口で電源供給して起動
モータースタート、ストップOK
PLLロックOK
回転数正常
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異音認められず
アームリフター動作OK
オートストップの位置検出に異常あり

チェックの結果、
PL-50LIIはモーターがOKで、アームがNG、ダストカバー汚い。
PL-30LIIはモーターNGで、アームはOK、ダストカバーはそこそこ綺麗。

ということで、
1.PL-50LIIに30LIIのアームとダストカバーを移植して音が出るようにする。
2.30LIIのモーターと50LIIのアーム、ダストカバーは落ち着いて直す。
3.モーターとアームの修理が上手くいったら元に戻す。
でいきましょう。

PL-50LIIのターンテーブル部の修理
修理といっても、ターンテーブル自体は生きているので、切られている電源ケーブルの付け直しとクリーニングです。

まず加水分解でベッベタになったターンテーブルシートをやっつけます。
ダストカバーとヒンジの金具を外してひっくり返し、「桶」にします。
キッチンハイターなどの台所用塩素系漂白剤を適当にドバドバっと入れて、シートが浸るくらいの深さまで水で薄めます。
そこにターンテーブルシートを入れて一晩漬け込みます。
濃いめの液の塩素臭で喉をやられたりしますので、うちでは換気扇を回した風呂場で実施。
途中、ゆすったりスポンジで表面をなでたりして表面のベタベタを取り除いていきます。
ベタベタ度合いが軽ければ、漬け込んで一回撫でるだけで取れたりしますが、進行が激しく厚くなってる場合は、何回かスポンジで擦って剥がさないとベタベタが取りきれないことがあります。(この作業時は、ゴム手袋必須です)
水でよく濯いで水分を取り、ベタベタが取れていることを確認します。(残ってたらやり直し)
ターンテーブル側にもベタベタが移っているので、シャフトから外し、アルカリ電解水とベンジン(ジッポーオイル)で拭き取ります。

続いてモーターとアームを外し、木部フレーム、モーターシャーシをクリニーニングします。

PL-30LIIのモーターは、木部フレームの上下から挟み込むように、いびつな恰好に共締めされているので取り外しが厄介ですが、PL-50LIIの場合は、ダイキャストシャーシにモーター一式と制御回路がついていて、シャーシを木部フレームから外すだけですっぽり取れます。
今回はクリーニング目的なので、ねじを外してずらすだけでOKです。

こちらがPL−30LII
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こちらがPL−50LII 回路(基板)がほとんど同じなのお分りいただけるかと。。
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アームは交換しちゃうので、完全に取り外します。
底の鉄板カバーを外し、アームからソケットを2個(制御系と信号系)抜き、ねじを2つ外せばトーンアームASSYが外れます。
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そして電源ケーブルを付け直します。
プラグつきコードを買ってきて、底カバーのグロメットに通し、内部ソケット近くで古いケーブルにはんだ付け。以上。
ケーブルの色が黒から白になったのですが、会社の近くのホームセンターに立ち寄ったらそれしか売ってなかったからで、他意はありません。ケーブル自体も0.75スケアで十分だったんですが、なかったので1.25スケアにグレードアップです。こちらも技術的な意味はありません。(笑)

アームの移植
PL-30LII、50LII、70LIIのアームは、塗装やダンパーキャップを留める突起部の有無以外の機構部分は各部のサイズを含めて同一で、相互に差し替えが可能だったりします。
(モーターは、先に書いたように取り付け方法が大きく異なるので差し替えでは使えません)
今回は、PL-50LIIのアームを徹底修理するにあたり、PL-30LIIのアームを暫定的に持ってきます。
50のアームはすでに取り外してありますので、30からアームを外し、50に取り付け。
ダンピング調整用のキャップも差し替え。
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オートストップ機構のポジションと感度VRを調整して、ダストカバーも30のものを取り付けて、移植による暫定対処完了。

ターンテーブルプラッターの重さが少々違うので回路の定数が少し違うことと、取り付け方法、プレーヤー全体の重さが多少異なるだけで、回路的にはまるで同じモーターのターンテーブルで、しかもアームは同じものを使いまわしているのに、出てくる音がずいぶん違うのには驚きです。
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多分、うちに来る誰もプレーヤーが入れ替わったって気づかないんだろうな。。 (苦笑)