PL-50LIIのアームを直す

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オーディオ全盛期のプレーヤーを修理しよう。4

取り外したPL-50LIIのアームですが、制動オイルが漏れて足りなくなっていますので、まずはこれを確保しなければなりません。
ダンパーオイルは無色透明、水あめ状のシリコンオイルで、純正品を探したらわりとうちの近く(と言っても車で30分くらい)のオーディオショップ(千葉県市原市のサウンドハイツ)に在庫があることがわかり、買い求めてきました。

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肝心のアームの方は、手が届く範囲のダンパーオイルを拭き取りパーツクリーナーでジャブジャブしてみましたが、高さ調整部分だけはにっちもさっちも動きません。
ダンパーオイルも漏れちゃってどこまで浸潤してるかわからない状態なので、バラせるところまでバラしてみましょう。

左がPL-50LII、右が30LIIのアームです。
微妙に違うんですが、どこが違うか分かりますか?w
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音声信号線のコネクタ部の半田を外し、ジンバルサポートのねじを緩めてトーンアーム部を外します。
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ピストン状のセンタースピンドルシャフトホルダーにあるスピンドルの留めネジを緩めるとスピンドルが抜けます。
アームリフターを外し、アームレストとインサイドフォースキャンセラーをスピンドルホルダーから外します。
アームリフターの配線の半田を外すとリフターソレノイドと出力コネクタ基板のサポート金具ごと外せます。
ここまでくると、残るはアームの位置センサー基板とアームベース、スピンドルホルダーだけになります。
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しかし、ここまでバラしても全く動く気配なし。
まるで固着したブレーキピストンかロワアームブッシュのようです。

抜けないブッシュを抜く。。
おお。その手があったか!
道具箱からシャコ万を持ってきて、板の切れ端をブッシュ抜き宜しく組み合わせ、シャコ万で締めていくとじわじわと沈み込み、アームベースからスピンドルホルダーがボコっと抜けました。
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ホルダーとベースの当たり面は案の定ダンパーオイルでベタベタではありますが、固まっていた理由はそれだけでもなさそうです。
汚れとオイルを取っても、スピンドルホルダーがベースに入りません。
ホルダーに塗装されていて、その塗装が所々浮いていたので、嫌な予感はしていました。
こうなったら意地です。
ペーパーで塗装を剥いで、更に当たっているところをちょっとずつ削っていき、指で押し込めば入る程度まで調整しました。
仕上げにピカールで磨いて脱脂。

ダンパーオイルはカップの残りを取り出してみたものの、想像以上に漏れ出していたようで、規定量の半分も残っていない状況でした。
ベアリングを除くほとんどの部品を脱脂して、逆の手順でトーンアームASSYを組み上げます。
ここで一つだけ細工を入れます。
PL-50LIIのターンテーブルは30LIIのそれより背が高く、アームを一番高くまで上げても高さが足りないカートリッジがあったりしますので、スペーサーを追加して少しだけ高くまで上げられるようにしました。
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出来上がったアームを、仮につけていたPL-30LIIのアームと入れ替えて最後の調整。
ジンバルサポートの調整は結構気を使います。
緩いとガタが出ますし音も緩くなります。
きつめにすると音はシャープな感じになりますがアームとしての感度が落ちます。
このバランスが重要です。
当初きつく締めすぎていたらしく、上げ下げするたびに針圧が変わっていました。(汗
毎日数時間しか作業できないこともあり、ここの調整は3日ほど掛かりました。
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最後に、買っておいたオイルを入れて完成。
バラして組み直した達成感(自己満足)も加わってサウンドの改善度合は20dBアップ(当社比)です。(笑)

そうそう。
これまで数も大したことなかったので、カートリッジはプレーヤーに並べてたんですが、並べきれなくなってきたので、カートリッジキーバーを作りました。
材料は、100均ケースと、そこらで余ってた1×4の切れっ端。
8mm径の穴を50mm間隔に開けて、ガイドが入る切り欠きをカッターで掘ってあっという間に完成です。
プレーヤーの上が少しスッキリしました。
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