銅箔スチコンでフォノイコライザー

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イコライザーを作り替える(その2)

前回は、サンリング電子のPPSDでフォノイコライザーを組んでみたわけですが、

実は。。

秋葉原にPPSDを買いに行ったとき、なんと店頭で「銅箔スチロールコンデンサ」を見つけてしまいました。

数も少なく値が飛び飛びですが、フォノイコライザーに使う組合せはできそうな感じだったので、使えそうなものをまとめて買ってまいりました。
作り替えたばかりではありますが、今度はこちらでもフォノイコライザーを作ってみます。

まずは定数の決定から。
エクセルとシミュレーター首っ引きで一番良さげな組合せ(定数)を探ってみたところ、バランス構成で2組作れそうです。
コンデンサ以外の使用部品はPPS版とほとんど一緒で基板上の配置もだいたい同じで行けそうです。
(もちろん定数は異なります。)
あらかじめスチコン個々の容量をLCRメーターで測り、バラツキの少ない組合せを作っておきます。

ところで、スチコンは、その名の通り誘電体がスチロール(CDケース等に使われるプラスチック)でできているため、電子部品としては極端に熱に弱く、半田付けは素早く確実に行う必要があります。
しかも数少ない店頭在庫をあらかた頂いてきているので、失敗すると替えがありません。
半田付けは最後のほうでまとめて行いましょう。
タクマンREY抵抗はリードが無酸素銅線で柔らかいので、これを配線にも使うことにします。
こうすると半田経由の接点が減りますし、再加熱が不要になるのでスチコンにも優しい。

ただし、あとになってから抵抗を交換したいなんていう時には厄介なのですが、自分の腕と運を信じて今回はこの方法で行きます。(笑)

パーツ実装途中の図
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片方はスチコン満載でなにやら贅沢な雰囲気ですが、上に書いたとおり容量合わせで数が増えてるだけで、回路構成は同じです。(笑)
PPSDよりNF回路のインピーダンスが上がっているので、AC化用のコンデンサはさらに小型になっています。

サウンドは、PPSD同様にスッキリ爽やか濁りなしといった感じです。
細かいところでPPSDのイコライザーより明るく、更に澄んだ感じに聞こえますが、スチコンで組んだ2種類のあいだでもわずかに違いがありますので、この違いはPPSとスチコンの違いと言うより、仕上がり特性の差を感じてるのかもしれません。
(特性自体は0.2dBくらいしか違わないんですが。。)

その上での比較ではありますが、ニッセイAPS、サンリングPPSD、銅箔スチコンのイコライザーを比べると、銅箔スチコンのものが一番好きです。
また、PPSDは銅箔スチコンに近いサウンドで、なるほど、スチコンなきあとの高級品にPPSを採用するところが多い理由が分かったような気がします。
ちなみにPPSコンデンサは、サンリング電子の他ではパナソニックにもあり、こちらも人気があるようです。
サンリング電子は銅箔巻きのラジアルリードタイプ、パナソニックはメタライズド(蒸着)のSMD(チップタイプ)です。

今回、銅箔スチコンが入手できたのはとても幸運でした。
オーディオ用を謳ったトランジスタや銅箔スチコンが数10円という(オーディオ用だからといって最近のパーツやプレミアが付いちゃってるディスコンパーツなどの様に)値段まで特別だったわけではない時代に工作趣味を再開しなかった(出来なかった)のは残念至極ですが、タラとかレバとか、今更無い物ねだりしても始まらず、これからを考えたり今ある部品でなんとかするとなれば、PPSコンデンサは大変強力な選択肢と感じました。

こういった「趣味のパーツ」の生産が続くことを祈るのみです。

ところで、今回なぜイコライザーを2組作ったのかというと、実は里子に出ているSL-1200MK3改(バランス出力)用にもイコライザーを作ろうとしてたんです。
銅箔スチコンがなければ、APSかPPSDで組んでいました。

里子用は単体イコライザーとして小型のケースに組み込みました。
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こちらもバッテリー駆動です。
ちなみにこのケース、確か、高校生の頃に何かを作ろうと買って(30ン年)そのまま眠っていたものだったりします。(苦笑)
キャノンのレセプタクルが5個きちんと収まり、ちょうどいい大きさでした。